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草食系院生ブログ

「労働」について思想史や現代社会論などの観点からいろいろ考えています。日々本を読んで考えたことのメモ。

資本主義のオルタナティブを構想する。

 数日前の記事で、「日本がこんなに物質的に豊かな国であるにもかかわらず、僕たちはどうしていまだにこんなに働いているのか?」という問いを出しました。僕の考えるところ、その答えはひとつです。それは「僕たちの社会があまりに資本主義にとらわれているから」です。つまり、社会のなかで資本主義の力があまりに強くなりすぎており、経済(資本主義)が政治や社会を振り回すようになってしまっている。そのバランスを適正な状態に戻す必要があるのではないか、というのが僕の意見です。

 

 僕はなにも資本主義を打倒して共産主義や社会主義へ移行すべきだ、と主張しているわけではありません。言うまでもなく、資本主義にはさまざまな利点があります。現在、僕たちの社会がこれだけ豊かであるのも資本主義のおかげです。この数百年の間に、資本主義はさまざな技術革新やイノベーションをもたらすと同時に、われわれの消費欲望を刺激し、雪だるま式にその豊かさを大きくしてきました。他方で、ソ連や中国などの社会主義国家が壮大な実験とともに失敗に終わったことは誰もが知るところです。

 

  しかしそうであるからといって、資本主義が万能の経済システムである、ということにはなりません。当然ですが、資本主義にも欠点はあります。また後ほど詳しく説明しますが、資本主義はあまりに成長しすぎると社会や共同体を破壊し、かえって経済が成長する基盤を破壊してしまうという欠点を持っています。このことはこれまでにも様々な論者によって指摘されてきました。僕の関心から言えば、マルクス・ポランニー・アーレントなどがそのような批判を行った思想家です。

 

[新訳]大転換

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 しかし、現代に生きる我々は資本主義万能主義、資本主義至上主義とでも言うべきものに陥ってしまっているのではないか。繰り返しになりますが、僕は資本主義が悪い、資本主義を廃棄せよといっているわけではありません。経済と社会の関係性でみたときに、現在はあまりに経済(資本主義)の威力が強くなりすぎているので、もう少し経済の力を弱め、社会の力を強くし、経済と社会の適正なバランスを取り戻すべきではないか、という提案をしているだけです。言い換えれば、「資本主義以外にも別の道がありうる」ということ、「資本主義とは異なる〈経済〉のあり方が存在する」ということを我々は知っておく必要がある。

 

 資本主義のオルタナティブへの想像力をもつこと。これこそが我々の社会が必要としていることではないだろうか。

 資本主義というひとつの選択肢にとらわれている限り、どれほど経済的に豊かになっても我々は「労働」から解放されることはないであろう。そこで次回からは資本主義とは異なる〈経済〉のあり方について探っていくことにしたい。