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草食系院生ブログ

「労働」について思想史や現代社会論などの観点からいろいろ考えています。日々本を読んで考えたことのメモ。

なぜこんなに豊かな社会で我々はこんなにも働いているのか?

 僕は労働の思想史研究を専門にしていて、主に経済思想史や社会思想史と呼ばれる分野から「労働」のあり方についていろいろと考えている。「労働」は社会のなかでどのような機能を果たしているのか、労働観は時代や社会ごとにどのように変遷してきたのか、我々にとって「労働」とはそもそも何なのか、etc.

 

 僕はいちど大学を卒業して、民間企業に就職して3年間ほど働いてから大学院に戻ってきた人間なんだけど、就職してみて思ったのは「なんでこんなに働かなきゃいけないんだろう」ということ。僕たちが暮らしている日本は、不況だ不況だとは言われているものの、世界の中では有数の経済大国。物質的には非常に豊かな環境の中で僕たちは暮らしている。もちろんいまだに貧困や格差の問題は深刻に残っているんだけれども、日本社会全体で見れば物やサービスが余って困ってしまうくらいの豊かさの中にいるはず。

 

 なのに、どうして日本人はいまだにこんなに働き続けているのか?しかも現代では皆が一様に忙しいというのではなく、一部の正社員が猛烈に長時間働かされていて、他方で非正規社員はもう少し長く働いてお金を稼いだり、やりがいのある仕事をしたくても、それができないという状況にある。長時間労働で欝になったり体を壊したり自殺にまで追い込まれる人々がいる一方で、なかなか仕事が見つけられず困っている人たちもいる。一方における「労働の過剰」と、他方における「労働の過小」

 

 このギャップがどうしてなかなか埋まらないのだろうか。これだけ豊かな経済国に暮らしているなら、もうそろそろ物質的な豊かさはいいから、全体的に働く時間を減らして、ゆったりと豊かな人生を送ろう、という発想にどうしてならないのか。そういったことが昔から不思議だったし、実際に就職して会社のなかで働いてみて、その思いはいっそう強くなった。そこでそういった問題を、思想史という大きな視野から考えてみよう、というのが僕のやっている研究だ。

 

 具体的には、マルクスとかアーレントとかいった思想家の労働思想を参照しながら、近代から現代に至る「労働」のあり方・変遷を研究して、その思想を現代社会にどう生かすか、ということを考えている。

 

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)

 

人間の条件 (ちくま学芸文庫)

人間の条件 (ちくま学芸文庫)

 

 地道に本や論文を読んだり、考えたことを論文やワーキングペーパにまとめたりしているんだけど、あっという間にD3になってそろそろ博士論文の構想を練らなければならなくなってきたので、このブログでつらつらとこれまで研究のなかで考えてきたことをまとめていければなと思っています。ときどき不用意なことを書くこともあるだろうけど、そして文章もまったく練られておらず不恰好なものになるだろうけど、大目に見てもらえれば幸いです。というか、自分の思考整理のためだけに書くので、たぶんほとんど誰もこんなブログ見てないと思うんだけど…。一応念のため。

それではおやすみなさい。(午前7時)